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上桂から松尾へ向かう、物集女街道沿いにある「喫茶ARK」。昭和48年頃から営業しているので、昔から西に住んでいる人は、一度は前を通ったことがあるだろう。

去年、阪急電車の「ブログdeバーチャル駅長」でも紹介させてもらった

私も前から気になっていていたものの、通い出したのはここ数年。常連というほどではないが、時々来店しては物腰柔らかいマスターとあれやこれや話していた。

店内は古き良き喫茶店のつくりで、純喫茶好きにハマりそうな雰囲気。だが若い客より常連が多く、たわいない話でわいわいしていた。

若い頃自動車メーカーに勤務していたというマスター、機械の扱いは手慣れたもの。店内でも古いステレオを直しながら使い、往年のLPレコードを流していたほど。機械をいじるのは好きだが、料理の仕事がしたいと転職。ARKをオープンさせたそうだ。以来基本ひとりで、ほぼ年中無休で営業。モーニングからごはんもの、デザートまで幅広く提供していた。

マスターは団塊の世代で、いい年のおっちゃん。だがスマホを使いこなしインスタもやっていて、若い感性をお持ちだった。私のインスタ投稿を見てくれていて「参考にしてる」「楽しみにしてる」と会うたび褒めてくれていたし、いろんな話で盛り上がった。

もともと華奢な体格なマスターだが、今年に入りさらに華奢になっていた。気になってそれとなく聞くと、病気をして入院したそうだ。「治らない難病で無理はできないが、今すぐ死ぬわけでないから、様子を見ながら営業している」と言っていたのが5月頃。また来ます〜と交わした会話が最後になってしまった。

フォロワーさんからマスターの訃報を聞いたのは、2021年を迎えた矢先。奥さんによると、容態が急変して10月頃亡くなったそうだ。元気とまではいかなくても、お店に立っておられるだろうと思っていたので言葉を失った。以前かかっていた病院から転院したとか、もしかしたらコロナの影響や不運が重なったのかもしれない。人間いつかは死ぬとわかっていても、訃報を聞くとやるせないし、悲しみに打ちひしがれる。

実は秋頃から、マスターの顔が頭に浮かんで気になっていたので、虫の知らせだったのかもしれない。直感を信じて訪問しとけばよかったと後悔しても後の祭り。「明日死ぬかもしれない〜」が現実になってしまった。

お店は、奥さんと娘さんが引き継いで営業しているという。常連さんの励ましがあり、がんばれているのだそう。マスターがお元気な頃に、そろそろやめようかと漏らしていたこともあったが、ひとまず続いていることに安心した。この先はわからないけど、可能な限り続けてほしいと思う。ほかの常連さんも、続いてほしいと願っているだろうから…

店内に大切に置かれていたLPは、マスターの宝物だったのだろう。去年の正月にLPを聴かせてもらったが、楽しそうに説明してくれるマスターの姿が印象に残っている。

マスターはどんな想いで長年お店を切り盛りしていたのだろう。今となっては誰にもわからないけど、マスターを慕い、心地よさを求め通うお客が多かったと思う。マスター、素晴らしい空間を作ってくれてありがとう。そして長い間お疲れ様でした。この1,2年は苦しかっただろうから、安らかにお眠りください。

在りし日のマスター(2019年4月撮影)

information

住所:京都市西京区松尾大利町86-1
電話:075-391-8202
営業時間:8:00~18:00ごろ
定休日:不定休
アクセス:上桂駅下車徒歩約10分

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